マスクは、クリーンルームの適切なプロトコルに不可欠な個人用保護具（PPE）です。しかし、マスクを2枚着用する方が1枚よりも効果的でしょうか？米国疾病予防管理センター（CDC）が発表した新たな研究では、エアロゾル曝露の低減には二重マスクの方が効果的であることが示されています。これらの結果を踏まえ、CDCは現在、二重マスクのプロトコルを公表しています。二重マスクには明らかな利点があるものの、あらゆる状況で必ずしも最適な方法とは限りません。クリーンルーム管理計画に二重マスクのプロトコルが盛り込まれていることはまずありません。ここでは、二重マスクとクリーンルームについて知っておくべきことをご紹介します。

CDCが二重マスクについて語っていること

保護に関しては、マスクを複数枚着用するよりも、重ね着をすることが重要です。2021年2月に発表された研究では、布マスクまたはサージカルマスク単独と比較して、二重マスク着用の方がエアロゾル曝露の低減に効果的であることが示されました。1

CDC は、保護層を強化するために次の 2 つの方法を推奨しています。

布地が何層にも重なったマスクを選びましょう。

布マスクの下にサージカルマスクを着用してください（二重マスク）。

CDCは、使い捨てマスクを2枚重ねたり、N95マスクを他のマスクと重ねたりしないよう警告しています。これらの方法はマスクのフィット感を損なう可能性があります。2

量より質

マスクを効果的に着用するには、質の高いフィット感が最も重要な要素です。二重着用によってフィット感が損なわれれば、本来の目的が達成されません。

CDC は、マスクが適切にフィットするようにするための以下のヒントを提供しています。

マスクは鼻と口を完全に覆う必要があります。

マスクが顔の側面にぴったりフィットし、隙間がないことを確認してください。

ノーズワイヤー付きのマスクを選びましょう。先端の金属部分を顔に沿うように曲げてフィットさせましょう。こうすることで、マスクの上から空気が漏れるのを防ぎます。

マスクフィッターまたはブレースを着用してください。布マスクやサージカルマスクの上から着用することで、マスクの縁からの空気の漏れを防ぎます。

顔に毛がある人は、ひげを剃ったり、マスクフィッターを使用したり、マスクを二重に着用したりすることが推奨されます。3

クリーンルームでのマスクの適切な使用

食品医薬品局（FDA）もCDCも、クリーンルーム機器に関するガイドラインを定めていません。FDAは、サージカルマスクやN95マスクなどのPPE（個人用保護具）が医療機器として販売されている場合にのみ規制しています。4 クリーンルームの用途が医療分野以外である場合は、機器に関して国際標準化機構（ISO）または現行適正製造基準（CGMP）の推奨事項に従っている可能性が高いでしょう。

クリーンルーム用マスクは多層構造で、ポリプロピレンなどの糸くずや繊維が落ちにくい素材で作られています。クリーンルーム内の空気や表面を汚染する可能性のある粒子の量を最小限に抑えることを目的としています。

クリーンルーム管理計画によっては、マスクから剥がれ落ちる粒子の量に基づいて「クリーンルーム規格」に適合したフェイスマスクの使用が義務付けられています。クリーンルームのISO規格によって、マスクの必要清浄度が決まります。

CDCが複数のマスク着用について定めた唯一のプロトコルは、布マスクの下にサージカルマスクを着用することです。布マスクはクリーンルームの基準を満たしていないため、クリーンルームでは二重マスクは推奨されません。